今日は私にとって、「共感した気になっていた」「知った気になっていた」そんなことを痛感した日でした。
午前は外国にルーツを持つ方々のための支援団体、あんじょうまざりん代表の本多さんにお話を伺いました。あんじょうまざりんは「地域の一員として、国籍や文化に関わらず、子どもたちが安心して夢を実現できる社会の実現」をビジョンに掲げ、支援、ネットワーク、多文化共生まちづくりの3つの事業を中心に活動されています。本多さんご自身の海外移住を経て「居場所があること」の重要性を実感したことも、今の活動に繋がっているそうです。
その後、活動に参加されている4人のスリランカ出身の女性からお話を伺いました。外国籍住民数が8,284人(2024年1月時点)という安城市ですが、新安城にはモスクがあります。モスクが近くにあることは、ムスリムの方々にとって生活するうえで大きな安心材料になるそうです。
私は以前から、日本で生活をするムスリムの方々の食生活について関心がありました。お話を伺うと、食品パッケージに記載されたバーコードを読み取り、原料からハラールのレベルが測定できるアプリを利用するそうです。安心して買い物をするためにとても便利なツールだと思いました。
また、理解のある先生が身近にいることで子どもが安心して教育を受けることができているというお話から、多文化共生社会実現に向けた取り組みが行われていることが分かりました。一方、外国人だから、漢字が分からないからという理不尽な理由で疎外感を覚えた経験も共有してくださり、日本における課題も見えてきました。
お話を通して、言語が思うように通じず、圧倒的マイノリティの空間に飛び込んだ時の留学時代の自分を思い出しました。そんな時に手を差し伸べてくれた人のことはおそらく一生忘れません。
午後はフィリピンにルーツをお持ちの、伊藤クリスティーナさんにお話を伺いました。クリスティーナさんは14歳の時に来日して以来、日本での生活における見えない境界線への葛藤と向き合ってきたそうです。Bri Asia合同会社を設立し、単なる学習の場づくりではなく、ことばを通して外国人と日本人の輝ける未来の懸け橋になりたいという想いで活動をされています。
私たちは、短編映画“THE Tina STORY ティナの物語”を視聴し、クリスティーナさんのライフストーリーをお聞きしました。どこにもフィットしない息苦しさや、「意欲」が言語習得に欠かせないというご自身の経験に基づき、同じ経験をしている人々を応援したいという想いを語ってくださいました。辛かった頃の自分の経験があるから、同じ状況に置かれている人の気持ちが想像できる、そんな素敵なお気持ちが伝わってきました。私が特に印象に残ったのは、「どう違いを知り、どう理解するか。」というメッセージです。多文化共生の理想の姿を夢見て先走ってしまうのではなく、異文化理解の過程における「なぜ」という根本的な部分に迫り、「知ろうとする姿勢が当たり前になること」が求められているのではないかと考えます。私ができる初めの第一歩として、アンテナを張り、価値観を更新し続けること、自分を外から見るクセを付けていきます。
とても感情の揺れ動く時間を過ごすことができ、インクルーシブの考え方に関心のある私にとって学びの多い一日でした。私は日頃から異文化理解について考える機会があっても、どうしても断片的な知識や自分の常識から、偏った見方をしてしまいがちです。いつも通り生活していては、今日お会いした方々の「声」に気付くことすらできなかったかもしれません。さらに発見した問題や感情を研修の仲間とシェアすることで、新たな学びを得ることができ、考えを深め合うことの重要性を実感しました。visionを安心して語ることのできる社会の醸成、そのために今、私ができることにフォーカスして学び続けたいと思います。
執筆者:山浦美聖